ウクライナ国立バレエが、初めて台湾を訪れ、5日に国家戯劇院(ナショナル・シアター、台湾北部・台北市)において、古典バレエの不朽の名作「ジゼル」を上演した。中華民国外交部(日本の外務省に相当)の呉釗燮部長(外相)夫妻、陳立国常務次長(事務次官)夫妻が、中華民国政府を代表して鑑賞した。呉部長は上演後、同カンパニーを率いるプロデューサーのPaul Godfrey氏、Andrii Musoryn総監督および団員にあいさつし、素晴らしいパフォーマンスに感謝の意を表した。呉部長は、「芸術を通じてウクライナ国民の日常を保とうとする舞踊団の精神は賞賛に値する。台湾は今後もウクライナの再建に協力していく」として、最後にウクライナ語で「Slava Ukraini!(ウクライナに栄光あれ!)」との言葉を贈り、戦争の早期終結を願い、メンバーを激励した。
ウクライナ国立バレエは、ウクライナで最高峰に君臨し、多くの著名なバレエダンサーが所属してきた。今回の演目は、ウクライナ西部の大都市リヴィウのオペラ・バレエ劇場がプロデュースしている。同カンパニーのプリマバレリーナ、Anastasia Bondarさんは、「ロシアによるウクライナ侵攻が始まった当初、ダンサー全員が防空壕に集まりリハーサルをしたことが思い出される。当時の抑圧と緊張が張り詰めた雰囲気は、今もなおはっきりと覚えている。ウクライナは未だに戦火に見舞われ不安な日々が続くが、カンパニーはウクライナの日常の生活や文化を維持するよう尽力し、毎週バレエが上演できるようにしている」と説明した。一方、Andrii Musoryn総監督は、戦争は誰もが大きな苦痛を味わうものだからこそ、人々は日常のペースを取り戻す必要があり、バレエの公演によって日常を感じられるよう願っていると話した。
カーテンコールで団員は、ウクライナ国歌を高らかに斉唱し、素晴らしいバレエ公演に衝撃的かつ感動的な結末をもたらした。呉部長も団員へ拍手喝采を送り、今後の台湾とウクライナの更なる芸術交流と協力に期待を寄せた。
ウクライナ国立バレエは、台北での公演に加え、台湾中部・台中市の国家歌劇院と台湾南部・高雄市の衛武営国家芸術文化センター歌劇院でも公演を行う。